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人は何を受け継ぎ、何を残して生きるのか|第19回 綜医學講座「綜医學の原理と『大和言葉の霊魂観』(其の二)」講義レポート

1 時間前
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第19講 綜医學の原理と「大和言葉の霊魂観」(其の二)の講義風景

亡くなった家族や恩師の言葉が、何年経っても自分を支えてくれる。


直接会ったことのない歴史上の人物の生き方に心を動かされ、自分の進む道が変わる。


人は亡くなった後も、何らかの働きをこの世に残していくのでしょうか。


2026年10月25日、第19回綜医學講座が開催されました。今回のテーマは「綜医學の原理と『大和言葉の霊魂観』(其の二)」。


今回は、林英臣先生が師である河戸博詞先生から学ばれた生命観・霊魂観をさらに深めるとともに、これまで18回にわたって説かれてきた綜医學の原理を振り返り、その全体像を改めて確かめる講義となりました。


身体と心、生命と霊魂、先人から受け継ぐもの、そして自らの志。


それらが心身の健康とどのようにつながるのか。今回の講義を振り返ります。


◾️身体と心は、もともと一つの命


講義の冒頭で、林先生は綜医學の根底にある「物心一元論」「身心一如」について説明されました。


私たちは普段、身体と心を二つのものとして考えがちです。しかし、綜医學では、もともと一つの生命を異なる側面から見ていると捉えます。


ここで重要になるのが、「表観」と「裏観」です。


表観は、五感を通して外側に現れた身体や存在を捉える見方。


裏観は、目には見えない心や精神の働きを捉える見方であり、林先生は、そこに五感を超えた「第六感」の働きも位置付けられました。


そして、

「2つが揃って1つではなくて、そもそも1つというところ、ここを注意していただきたい」

ということでした。


身体と心という二つのものが後から結び付くのではなく、外から見れば身体、内から見れば心という、どちらも同じ一つの命の異なる側面なのです。


この生命観が、綜医學の出発点となっています。


◾️生命全体をまとめる「イクタマ」の働き


前回の第18講では、「ミタマ」とは、身体と精神が一元となった生命体そのものであると学びました。


今回、その働きをさらに詳しく確認していきました。


中心となるのは、イクタマ(生魂)です。


イクタマは、生命活動の中心となる「最高のナホヒ(直霊)」であり、生命全体をまとめる働きを持つと説かれました。


その周囲には、イクタマを側近のように支えるタマシヒ(魂)があり、さらにタルタマ(足魂)が生命体を充足させていきます。


先生が特に強調されたのは、身体だけでなく、心もタルタマによって充足されるという点です。身体と心はもともと一つであり、タルタマを別々に分ける必要はありません。


こうした働きがまとまった生命体を「タマトマルタマ(玉留魂)」と捉えます。


また、精神の働きとして、知・情・意についても説明されました。


知はクシミタマ(奇魂)、情はサキミタマ(幸魂)、意はマミタマ(真魂)。


中でも、自ら志を立て、それを実現しようとする「意」の働きは、生命の力を一つの方向へまとめるうえで重要であると説かれました。


これらは河戸国学に基づく生命観です。


ここで大切なのは、生命を個々の部分に分けるのではなく、全体として一つにまとまって働くものとして捉える考え方です。


◾️人が亡くなった後、何が残るのか――「念子」という仮説


今回の霊魂観で中心的なテーマとなったのが、「念子」です。


人が亡くなれば、身体の生命活動は終わります。しかし、生きている間に抱いた思いや願い、志の働きは、すべて消えてしまうのでしょうか。


林先生は、肉体の消滅後も精神活動の働きが何らかの形で残り得るという考えを、「念子」という言葉で説明されています。


「原子や分子素粒子のように念子と呼ぶべき精神エネルギーがある。」


先人が残した言葉や思想、仕事が、後の世代の人々に影響を与え続けることは、私たちにも理解できるでしょう。


講義では、そうした世代を超えた働きをさらに深く考えるための概念として、念子という仮説を用いて説明くださいました。


◾️「あの世は、この世にある」〜掛け替えのない命と中今


今回、林先生が繰り返された言葉に、


「あの世はこの世にある」


というものがあります。


河戸先生から学ばれた霊魂観では、同じ一人の人間が、死後にそっくり別の身体へ生まれ変わるとは考えません。


イクタマが一人の生命を統制する働きは、死によって終わります。同じ身体や精神、経験を持つ人間が、再びそのまま現れるわけではないという考え方です。


一方で、先人や祖先が残した働きは、今を生きる人々の中に存在し得ると説かれました。


その考え方に関連して、神社への参拝や墓参りも取り上げられました。


墓所を表す大和言葉「オクツキ」や、高野山奥之院で空海に日々食事が供えられている例を通して、こちらから先人や祖先へ思いを向け、つながりを確かめることの意味が語られました。


そして、「中今」という大和言葉にも触れられました。


過去の人々が残したものを、未来へつないでいく。そのために私たちが実際に行動できるのは、今この瞬間です。


ここで紹介されたのが、教育者・森信三先生の言葉でした。


「人生二度なし」


一度きりの掛け替えのない命だからこそ、今をどう生きるかが大切なのだということです。


◾️先祖とのつながりと、自ら志を立てること


こうした生命観を踏まえ、林先生は今回、「綜医學ミタマ健康法」の重要な柱を説明されました。


一つは、先祖とのつながりです。


先人や祖先を祀り、思いを馳せ、その知恵や志に学んで、自らの生き方に生かしていくこと。


もう一つは、自ら志を立てることです。


自分は何のために生き、何を成し遂げたいのか。自分に備わった力を、何に使っていくのか。


林先生は、志を立てることで生命の働きが一つの方向にまとまり、イクタマの働きが高められるという考えを示されました。


第17回の超人観では、天性・天分を最高度まで発揮することが説かれ、第18回の霊魂観では、その能力を発揮する生命そのものについて学びました。


そして今回、先人の志や知恵を自らの力に生かし、新たな志を立てて生きることへと学びがつながっていきました。


◾️身体・心・霊魂を綜合して捉える


今回の講義を通して、改めて綜医學における「綜合」の意味が明らかになりました。


身体を鍛えることも、心を養うことも、生命の意味を考えることも大切です。


しかし、どれか一つに偏ってしまえば、生命全体を捉えることにはなりません。


林先生は、「これらを綜合させたときに始めて綜医學になるのです。」と語られました。


身体と心、知・情・意、先人からの継承と自らの立志、生命についての学びと日々の実践。


それらを切り離さず、一つの命の働きとして捉える。


これまで18回にわたって学んできた綜医學の原理が、改めて一つにつながった講義となりました。


◾️沖ヨガに学ぶ――心身を精一杯使い切る


講義後半には、沖正弘先生が説かれた心身を精一杯使い切ることと、心身のくつろぎとの関係について学びました。


何かに夢中になって一日を過ごした後、身体は疲れていても、心には晴れやかな満足感が残ることがあります。


林先生は、そうした心身の働き方を、自ら志を立てることの大切さと結び付けられました。


また、ご自身が実践されている早朝のストレッチや武道の稽古、密息、仕事の段取りなどを紹介し、自分に合った方法で心身をよい状態に整えることの大切さを説かれました。


指一本を動かすときにも、手や腕だけでなく、腰を含めた全身が協力して働く。


部分がそれぞれの役割を果たしながら、全体として一つにまとまる。


身体の中心である丹田と、生命をまとめるイクタマの関係にも触れ、身体の実践と生命観が結び付けられました。


◾️この一度きりの命を、どう生かすのか


講義の最後に、林先生は、志に向かって力を出し切り、「やり切った」という満足感を得ることが、綜医學における心身の健康の基盤であると説かれました。


綜医學が目指すのは、単に身体を整え、病氣を防ぐことだけではありません。


一つの命として身体と心を捉え、その働きを高めていくこと。


先人が残した知恵や志に学び、自らも志を立て、天性・天分を十分に発揮して生きること。


そして、その力を自分のためだけでなく、周囲の人々や社会のために生かしていくことです。


この掛け替えのない命を、何のために使い、何を次の世代へ残していくのか。


今回の講義は、健康を単なる身体の状態としてではなく、命をどう生かして生きるかという視点から、改めて考える機会となりました。


◾️綜医學講座について


綜医學講座は、林英臣先生が体系化してこられた「綜學」の哲理を土台に、大和言葉に表れた日本の生命観や空海の思想などに学びながら、生命を部分ではなく全体として捉える医學を探究する講座です。


「手当て・言の葉・長息・長生き」の実践を通して心身を整え、自らの天性・天分を磨き、人や社会、さらには国にも手を当てる「国手」の育成を目指しています。


次回、第20回綜医學講座は、2026年11月29日開催予定。「綜医學の原理と『空海の霊魂観』」をテーマに学びを深めます。






懇親会の一コマ
講義後の懇親会の一コマです。大阪の会場で開催していますが、東京から通う受講生もいらっしゃいます。このほか、オンラインやアーカイブ受講を含めて約50名の仲間と学んでいます。次回の講義までの間に、「おさらい会」も開催し、任意参加で感想を述べあったり、呼吸法を一緒に実践したりしています。

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