やまとことば国学の世界観・第6講「ハジメ」#講義レポート
- Yukio YAMAMOTO
- 11月5日
- 読了時間: 3分
更新日:11月15日

◾️「ハジメ(始終)」ーいのちと宇宙をつなぐ日本の言霊
2025年10月30日、「やまとことば国学の世界観」第6講が開催されました。今回のテーマは、古事記の根本にある言霊「ハジメ(始終)」です。天地創造に次ぐ言葉である「ハジメ」には、宇宙の理(ことわり)と人の生き方の原点が込められています。
◾️「ハジメ」とは何か — 始まりと終わりの哲学
古事記において、天地の次に現れる言霊が「ハジメ」。つまりこの地球(雨土)そのものに始まりがあり、ゆえに終わりがあるということです。
「始めがあるということは、終わりがあるということ。そして、その先にこそ“無始無終”の世界が広がる。」
講義では、始まりと終わりを通して有限と無限の関係が語られました。“ハジメ”とは、単なる「スタート」ではなく、生命の循環・宇宙の呼吸そのものを表す言葉なのです。
◾️無常を恐れず、人生を肯定的に生きる
仏教では「諸行無常」「色即是空」と説かれ、すべては変化し滅びゆくものとされます。しかし国学では、この無常を肯定的に読み替える視点が示されました。
「諸行ハ無常ナレドモ 是ノ生ハ法ヲ滅ス」
― 変化こそ発展、滅びこそ進化 ―
現象の移ろいを恐れるのではなく、むしろそれを新しい始まりへの契機と捉える。人生を積極的に肯定し、命を完全燃焼させて生きる。それが、大和言葉に宿る「ハジメ」の生き方です。
◾️聖徳太子の思想に学ぶ「現象を本体として生きる」
仏教が「心の救い」を説いたのに対し、聖徳太子はさらに一歩踏み込み、この現象世界こそが「本体」であると説きました。
「現実を変え、より良くすることが人の務めである。」
この思想は、社会を前向きに変革していく行動哲学であり、「一大乗」という太子の言葉には、すべての命を救うという普遍的な慈悲と、積極的な実践の精神が込められています。
◾️命をつなぐ学び — 若者へのメッセージ
講義後半では、現代社会で増える若者の自殺問題に言及がありました。「命の意味を教えてくれる大人がいない」――そんな声が増える今こそ、古事記や国学の役割が問われています。
「人は皆、大宇宙のいのちの一部。だからこそ、あなたの命には“絶対の意味”がある。」
“ハジメ”とは、誰もが再び自分の原点を見つけ、立ち上がる力をくれる言葉。大和言葉は、現代の不安と孤独を癒し、命を輝かせる道標でもあります。
◾️有限と無限、絶対と相対 ― 認識を広げる教育へ
後半の講義では、「有限・無限」「絶対・相対」という哲学的テーマが展開されました。
先生はこう語ります。
「人間の認識が届くところまでが“我がこと”である。認識を広げるほど、私たちは宇宙とつながっていく。」
つまり、教育とは認識を広げること。個人主義や虚無主義に閉じこもるのではなく、自らの認識を宇宙的な次元にまで広げることで、私たちは“天人合一”──宇宙と一体の存在へと成長していけるのです。
◾️日本という生命体 — 国体の尊さ
講義の締めくくりでは、「日本国は生命体である」という壮大なテーマが語られました。国家とは単なる制度ではなく、命の総和としての存在。この国体こそ、私たちにとっての“絶対”なのです。
先の大戦で命を捧げた英霊たちは、命令ではなく「国柄への信頼」と「未来への祈り」を胸に出撃しました。その精神を継ぎ、日本の再生に尽くすことが、今を生きる私たちの使命です。
◾️まとめ
今回のテーマ「ハジメ」は、単なる“始まり”ではなく、宇宙の循環と生命の尊さを映す、日本人の根源的な哲学でした。
終わりの中にも“新たな始まり”を見出す。その心こそ、これからの時代を生きる力になるのではないでしょうか。
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